クイズ大会「アルテマ3」

クイズ大会「アルテマ」シリーズの公式サイトです。次回大会「アルテマ3」は2024年6月15日(土)に開催予定です。

例題紹介

ここでは、2021年に西村が出版した問題集『7-3 #1-10』『7-3 #11-20』から20問を抜粋しながら、本大会にも継承している出題思想などを紹介します。一応、抜粋元の問題番号も振っておきますが、あんまり意味はない気がします。

 

72.
オディロン・ルドンの絵画《眼=気球》で、気球の眼は上下左右のどちらを視ている?【上】

ある絵画について知っているかを問いたいとき、その絵自体を説明しようとするよりも、絵画の構成要素をうまく取り出すほうがよい場合があると思っていて、この問い方はその中の一つのアイデアです。

このような意欲作っぽい出題もしますが、それ自体が目的ではないです。

 

107.
毎週土曜には別冊版「be」が折り込まれ、ライフカルチャーコラムの「好書好日」や朝刊コラム「天声人語」も人気……といえば、この全国紙は何?【朝日新聞

「クイズに使いたい情報を選んでから、素材が活きるように問題文を書く」という作問スタイルなので、構文自体が変則的になる場合があります。

 

118.
漫画『ブルーピリオド』の第1話で、主人公の矢口八虎が選択美術の授業で描いた「青いもの」は何?【早朝の渋谷】

クイズプレー中には多くを補足説明できないハイコンテクストなクイズも出ます。このクイズについても詳細は省略。

 

140.
次の問題は「数字で選ぶ3択」です。①、②、③のいずれかでお答えください。味噌汁を作るとき、味噌を入れるタイミングとして正しいのは次のうちどれ?
①水を沸かす前 ②具を入れる直前 ③完成直前【③完成直前】

このような特殊な前置きのある問題も出ます。何が起こるかは毎回説明されるので安心してください。

 

154.
周期表ではウランの左隣に配されている、α崩壊によってアクチニウムに転じることから名がついた放射性元素は何?【プロトアクチニウム

元素の問題なのに元素記号原子番号も出てこない、というようなこともあります。

1対1対応で答えられたくなくて敢えて外していることもありますが、「(クイズの出題歴の文脈で)答えのワードを引き出しやすい情報よりも、盛り込んだほうがよい情報がある」と考えた場合に、結果として外れるという場合がほとんどです。

 

158.
1989年から2001年までは横浜、2002年から2015年までは中日でプレーし、累計3000を超える試合に出場した、日本の名捕手は誰?【谷繁元信

記号的な情報を並べるだけの問題を作る場合でも、知っている人にとって有利なものをなるべく採択するように心掛けていることが多いです。作問が下手でよくわかんないのが並んでる場合もあります。

 

191.
いろは歌における「と」の位置から今の呼び名がついたとされる、古くは「トウリ」、さらに古くは「イトウリ」と呼ばれた植物は何?【ヘチマ】

こういう問題がお気に入りです。雑学的な情報を組み入れつつ、早く押せるポイントを複数作れたところに愛着があります。

 

243.
「田舎にあるような小さな宿泊施設」という意味の、iから始まる3文字の英単語は何?【inn】

英語に関するクイズはやや多めになると思います。多くする理由は「身近に溢れてるしもっとたくさん出るべき」と思ってるから、ってだけです。

 

257.
縦真っ二つに割ったあとは、種に包丁の内側の角を刺して抉るようにすれば簡単に種が取れる、刺身にしても美味しい果実は何?【アボカド】

クイズは身体知の情報を扱うことが苦手と思っていますが、無理のない範囲でそこにも切り込めたらと考えています。

 

300.
川端康成の『雪国』の冒頭では「ここが白くなった」、芥川龍之介の『羅生門』の結末では主人公が「ここへかけ下りた」と語られるのはどこ?【夜の底】

後者は「夜の底」という表現の初出ともされていて、前者はそれに影響を受けたものという説もあるそうです。……というような裏テーマが張られていることもあります。もし裏テーマがあっても、説明なしで問題の意味が通る場合、フォローなどでも補足しないことが多いと思います。

 

359.
南アルプス・奥大山・阿蘇から採れた水がボトリングされている、企業理念の「水と生きる」を体現したミネラルウォーターブランドは何?【サントリー天然水

これは「サントリー」という企業名を隠しながら(そのヒントを置きながら)「サントリー天然水」という固有名詞を問う形になっているせいで、クイズに慣れている人でないと文をうまく咀嚼できないタイプの問題だと思います。このような「処理・整理すべき情報の多い問題」も(高度すぎないと判断した範囲内で)出る予定です。

これは特段そういう能力を解答者に求めているわけではなく、「こういうタイプのクイズもちょっとくらいあったほうが面白い気がする」という単なる好みです。(意識的に「自分があまり作らないようなクイズ」を混ぜ込んだほうが公平性を担保できるだろう、というねらいもあります。)

 

434.
今から読み上げる英文を日本語訳してください。
"A whale is no more a fish than a horse is.”【「クジラは馬と同様に、魚ではない」】

この問題には「大意が合っていれば正解とします」のような前置きがありませんが、「特別な断りを入れなくても、質問文として題意が伝わる」と判断した場合は、何も言わずそのまま出す場合があります。この他だと、理由を問うクイズにも前置きがなかったりします(問題文の末尾の「なぜ?」まで読めば、想定解と一言一句違わぬ解答が要求されていないことは明白だから)。

すなわち、問題の前置きは「問題文の意味をわかりやすくするために補うもの」であり、「解答者が問題文の先読みをしやすくするためのディスコースマーカーとしての役割は必ずしも持たせなくてよい」というのが私の基本的な考えです。

 

463.
具体的な時期は1910年代前半。ときに絵の具に石灰や卵の殻を混ぜながら独特の色彩を生んでいた、画家モーリス・ユトリロの全盛期を何という?【白の時代】

文を2つに分けた問題も出題されます。無理に一文に収めるよりも、一度区切ったほうが日本語として自然になると考えた場合に分割します。

また、いわゆる「ですが問題」は、一般的には「〜で、AはXですが、Bは何?」という構文をとることが多いと思いますが、本大会では「〜。AはXですが、Bは何?」と一度区切る場合が多いです(「で」を使った接続が日本語として不自然な場合など)。

 

522.
ギリシャ語で「心が分裂する病」という意味の言葉に由来する、精神科医オイゲン・ブロイラーが造語し、日本語には「統合失調症」と訳された英語は何?【schizophrenia(シゾフレニア/スキゾフレニア)】

オイゲン・ブロイラーという人名は「アンビバレンス」の造語者としての出題歴が深く、そのように誤答されるリスクも高いですが、「答えとなる事物にとっての重要度」を勘案した結果、入れるほうが望ましいと判断すれば特に配慮なく組み入れます。

といっても、よくある人名フリからよくある答えを引き出すようなクイズもたくさん出します。つまり、「これまでの他のクイズ大会での出題歴とは無関係に、私が必要だと思った情報を使って問題文が組み立てられる」と考えてください。

 

542.
TBSの木曜21時枠で、平成2年から平成23年にわたってシリーズ放送された、泉ピン子えなりかずきの出演で有名な橋田壽賀子のドラマは何?【『渡る世間は鬼ばかり』】

「毎週欠かさず観ていた」という人にはかなり残念がられそうな情報の選び方ですが、このクイズは「ちゃんと観てはいなかったけど、放送されていたことくらいは知っている」というライトな層に解いてもらうことを想定して作ったものです。このように、ターゲッティングは必ずしも「真の有識者」であるとは限りません。

 

559.
ある日、夕焼けが綺麗に見えたとき、次の日は晴れ・雨のどちらになりやすい?【晴れ】

択一クイズであることが最後に明らかになる問題も多く出ます。

このとき、例えば早い段階で押されて「明日は天気が良い」などと解答された場合、「質問文としては2択を提示しているが、この解答は"晴れ"と答えたのと同義とみなせる」と判断して正解にする場合があります。つまり、「クイズの問題文を質問と捉えたとき、それに対する答えとして意味が通っている」場合は原則として正解扱いとします。

 

584.
キューバ危機の翌年にアメリカ・ソ連・イギリス間で締結された、大気圏内・宇宙空間・水中での核実験を禁止した条約は何?【PTBT(部分的核実験禁止条約)】

解答方法が複数ある問題はどの形で答えても正解とします。別解精査が甘かったらすみません(本番までの準備で善処します)。

 

586.
重さは100円玉に近い約5g。英語で「往復する」という意味の言葉から名がついた、バドミントンに使う球を何という?【シャトル

正式には「シャトルコック」といいますが、模範解答としては一般的な通名のみを示す場合があります。もちろんシャトルコックと言っても正解にする(裏で別解を準備している)ので、べつに気にしなくていいです。

 

595.
見た目がブタクサとよく似ている、都会でも空き地などに群生し、高さ2mにまで育つことで知られる雑草は何?【セイタカアワダチソウ

上記のクイズに含まれる要素(ブタクサ似・都会でも群生・高さ2m・雑草)を満たす植物が他にないとは言い切れませんが、「厳密性を欠くが、"十分に"題意を伝えられる」と考えた場合、絶対に答えが一つに決まるようには情報を入れないことがあるかもしれません。とはいえ、基本的に解答は一意に定まるように問題文を工夫する予定です。

 

665.
身体は樽、顔はザクロ、ナシ、リンゴ、キノコなどで表現されている、アルチンボルドの絵画連作「四季」の一作は何?【《秋》】

このクイズはかなりディープな部分を問うており、「ここで初めてアルチンボルドを知った」というような人には、答えを聞いてもこれがどのような題意だったのか分からずじまいになってしまうおそれがありますが、「解答者の一定数は題意を解すことができ、また事物(ここではアルチンボルド「四季」)にとってもある程度意義のあることを扱っている」と判断した場合、そのような不幸な人が出てしまうことを厭わずに出題する場合があります。ご承知おきください。

 

 

以上で例題の紹介は終わりです。

「説明がむずくて意味わかんなかった」という人もいると思いますが、それはそれで全く構いません。

シンプルに、問題をみて、まあまあ面白そうだな〜と思ったら、よければご参加ください。お待ちしております。